平成21年度近畿大学校友会東京支部総会
昔「時間よ止まれ」という子供向けのドラマがあった、ヒロインの少年がこの言葉を叫ぶと一瞬にして彼以外の事象は止まってしまう、少年は当に銀行強盗をしようとしている犯人の手から刃物をもぎ取り、のち時間を戻す。喧嘩をしている二人を遠くに引き離す、など、いわゆる子供なりの勧善懲悪の単純なストーリーなのだが、私は憧れを持って毎週欠かさずみたものであった。
今年度の総会へは仕事の関係で十分程遅れて会場へ入った、ドアをそっと明けると、「シーン」と静まり返った四谷の会場には約五十人程の方々がテーブルの前に座り、演台では支部長が直立不動でスピーチを行っていた。私の目には一瞬「時間が止まった」ようなデジャブのような不思議な感覚が過ぎった。やがて挨拶が終わるとテーブルのあちこちで関西の言葉が交わされる、まるでそれは大阪の、いや近畿大学のキャンパスの学部が世代もごちゃ混ぜになって四谷の会場の広さ分時空移動したような世界が繰り広げられた。
やがて「事業報告」「会計報告」「会計監査」「事業計画」がそれぞれ承認され、高砂親方、安治川親方、役員から提供された賞品がビンゴで当たった人に手渡され、全員が斉唱する近大節にあわせて幹事長が演舞を行い、総会、懇親会は終わった。来賓の方々より頂いた言葉は心に残る。青春は二度と戻らないというのは「ウソだ」と思った。そして私は新橋駅前で外国の若い娘の甘い誘惑に負けそうになりながらも、大きな蜂の巣のようなカプセルホテルにたどり着いた。
およそこの世の中でこの様な楽しくも摩訶不思議な世界はそう簡単には体験できない。私はまた来年もこの魅力あふれる会場に来ようと思っている。総会と懇親会を創り上げて頂いた役員の方々の努力に深く感謝の意を捧げます。
記:志賀 良典(昭和51年水産卒)